キラキラ光る金盛―オールドノリタケの花瓶を見る―
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キラキラ光る金盛―オールドノリタケの花瓶を見る―

こんにちは、横山美術館です。

初回の記事で、横山美術館の最初のコレクションである、オールドノリタケの花瓶について触れました。今回はそれに関連して、オールドノリタケの代表的な技法の一つ、金盛についてお話したいと思います。


オールドノリタケとは

株式会社ノリタケカンパニーリミテドは、名古屋市西区に本社及び工場を置く、世界最大級の陶磁器、砥石メーカーです。

”オールドノリタケ”は、同社が明治期から戦前までに欧米に輸出していた陶磁器のことを意味します。
この呼び方は、1990年代頃から婦人雑誌やアンティーク誌などに登場しはじめ、華やかな洋風の陶磁器は注目を集めるようになりました。

ノリタケの歴史は、今から145年前の明治9年(1876)、元御用商人・森村市左衛門が、東京銀座に森村組という商社を創業したことにはじまります。

時は幕末、日本の金が大量に海外へ流出していく状況に危機を感じた市左衛門が、福沢諭吉から「金を取り戻すには海外貿易以外に方法はない」と教えられたことが、森村組設立のきっかけとなりました。
弟の豊(とよ)をアメリカ・ニューヨークに送り出し、小売店を設立。東京の森村組が輸出する日本の陶器・うちわ・ちょうちんなどの雑貨品を売り始めました。
中でもアメリカ市場で人気となったのが、豪華な絵付をした花瓶や飾り皿、飾り壺といった、ファンシーウェアと呼ばれる陶磁器でした。


金盛を見る

初回の記事で載せたこちらの画像、花瓶のアップの写真ですが、立体的に盛り上がっているのがお分かりいただけますでしょうか。

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これが金盛とよばれる技法です。
実際は写真よりもっと発色もよく、キラキラしており、うっとりするような美しさです。

一度焼いた素地の上に、イッチン*や筆などを使って立体的な模様を装飾し、その上に金液を塗って焼成します。
絢爛豪華な雰囲気を持つ、オールドノリタケの代表的な技法といえます。

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*イッチン…柿渋を染み込ませた和紙を円すい状にして、先端に穴の開いた金具を付けた絞り袋状の道具
(名古屋陶磁器会館様で撮影)




では、他にもオールドノリタケの金盛を見ていきましょう。

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「金盛薔薇図大花瓶」明治24~44年頃

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高さ約50cmの大きな花瓶。緑の地に色鮮やかな薔薇が描かれ、きらびやかな金盛が花瓶をより一層豪華に仕上げています。


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「金盛薔薇図花瓶」明治24~44年頃

左から右へ流れるようなねじり文様が斬新的なデザイン。

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このように点状になっている金盛を金点盛といいます。
高さと間隔を一定に揃えて、小さな点を一つ一つ盛り上げています。気の遠くなるような作業であることは言うまでもないでしょう…。

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「コバルト金盛白鳥風景図大花瓶」明治24~44年頃

白鳥が湖を泳ぐ様子が、中央に手描きで描かれた花瓶。高さは約61cmと、花瓶としてはとても大きなものです。

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この花瓶の金盛はひときわ繊細、緻密で、コバルトの地に映えるきらびやかな装飾です。
ちなみにこちらは、明治時代当時、海外市場で人気だったフランス・セーブルのコバルト磁器を強く意識して制作されたと考えられています。


おわりに

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3階展示室


横山美術館の約4,000点あるコレクションの中で、オールドノリタケが最も数が多いものとなっています。
金盛の作品をはじめ、オールドノリタケの作品は3階に展示しています。3階全フロアがオールドノリタケです。


今回紹介した作品は、現在(2021年5月)、美術館でご覧いただけます。
ご来館の際はぜひ意識して見てみてください。
横山美術館のオールドノリタケのコレクションの詳細については、下記の図録で詳しく掲載しています。


参考文献
・鈴木潔監修『世界に誇る和製テーブルウェア オールドノリタケと懐かしの洋食器』東方株式会社、2008年
・木村一彦、葵航太郎『オールドノリタケと国産アンティーク コレクターズガイド』トンボ出版、2008年
・『横山美術館300選』公益財団法人横山美術館、2017年
・『ノリタケミュージアム収蔵品公式図録』株式会社ノリタケの森、2019年



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